柳画廊のニュースです。

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・島村信之先生アトリエ訪問

(文責: 武方 英恵)

先週 島村信之先生のアトリエに伺った。
大磯は、東京方面から行くと東海道線で横浜を出て、小田原、熱海という温泉地の手前に位置している。列車の窓からはだんだんと緑が増えていく様子がはっきりとわかる。大磯の駅に降り立つと空気そのものが東京とは違って澄んでいるようである。
島村先生のアトリエは 海も山もあるという自然に恵まれたこの大磯にある。

Q. 大磯という場所を選ばれたのはどうしてですか。
A. 一言でいうと"色気がある"

Q. 色気があるとは、どういうことですか。
A. ぼくは、埼玉の平野で育ったから、山の丘陵などがなかったんですよ。大磯は山々があって町並みの中にも自然と起伏がある。そう、街と自然が調和し、変化に富んだ光景が随所にある。海・山・川はさることながら 古き良き近代文化のしっとりとした雰囲気もある、時の流れの速い一面と静かな一面が共存したところですね。別段見たこともない虫などいろんな生物がたくさん現れ、わくわくしてきます。

Q. 確かに大磯は、海も山もあって自然が豊富ですよね。海もお好きなんですか。
A. 海は遊びでは好きですが、作品のテーマとしては山のしっとりとした奥深さに興味 があります。竹林や森にもやが懸かったりした時の神秘的な光景には魅力を感じます。

昨年の柳画廊での個展で 霧がかかった風景を先生が描いていたのを思い出した。

アトリエに入って...

2階にあがってアトリエに入った。'白一色'というのが第一印象である。
壁、照明灯、天井、天井の梁にいたるまで白である。大きくとった3つの窓からは、眩しいくらいに光りが入り込んでくる。

Q. 先生はライトにこだわりがあるんでしょうか。いろいろな大きさ、発色のライトがありますが。
A. もちろん照明は絵描きにとって重要です。特に展覧会など最終的に鑑賞者にみてもらう空間の照明は気になるものです。ライティングによって全然見え方が違うんですよ。次回柳画廊での個展では照明の色も考えたいですね。やはり制作した現場に近い色で見てもらうのがよいと思います。人物画であれば微妙な肌色を感じていただきたいです。それから制作の際の光の演出は、作品の雰囲気を創り出すのに最も大切な要素です。モチーフに対し、あらゆるライティングを施せるよう考えたいと思っています。

Q. 窓がたくさんありますね。
A. そうですね。あらゆる方向、そして自然光の恵みを十分生かせるよう東西南北に配置してあります。私の場合、南側を使うことが多いです。美大をはじめとして多くのアトリエは北窓のみを使います。それは、曇りガラスにし、ソフトで安定した光を得るためです。

Q. 今年、白日会での文部科学大臣 奨励賞をとられたことについて。
A. どんな賞でもとても有り難いものです。作品の考え方の方向性を認めていただいたように思いますから。

Q. 先生の個展には、美大生も多く訪れますし、柳画廊のホームページでも島村先生のカタログはかなり好評を得ています。
A. 自分より若い方々に見ていただけるということは、どのような理由であれ有り難いものです。オーソドックスな内容の作品が多いのですが、なにか新鮮な方向性が少しでも表現できればよいと思っております。

Q. 今年はもう一つ嬉しい出来事、新しい家族メンバーを迎えられましたね。作品への影響はありましたか。
A. 子供が生まれたことと職業をしている自分の作家人生とは別々のものです。生活パターンは変わりましたが…(笑)でも子供を描いてみたいという気持ちはあります。作品の対象(モデル)となるものが身近にいるということは好都合です。常に観察できますので発見もたくさんあると思います。

研究熱心な先生らしいコメントである。

Q. 島村先生は 風景、人物、静物でどれを一番描きたいですか。
A. 人物をメインにやっていきたいと思いますが、理想的には万遍なく描くことができれば良いと思います。静物画はモチーフに拠りますが時間を注ぎ込むには都合良くじっくり本質に迫ることができます。その意味では、私のようなタイプには適していますが ただ感動ある作品にするためには、難しいテーマだとおもいます。

今後の活動について。

Q. 今後の予定について教えてください。
A. 白日会に出品予定の他に柳画廊での個展の為の作品も制作します。来年の柳画廊10週年記念の企画展に9月以降だったら作品を出品できそうです。

今日は、お忙しいところインタビューにお答えいただきましてありがとうございました。

・インタビューを終えて

島村先生の優しい、癒しの作品は、先生の絶えまない努力と妥協を許さない強い意志の中から生まれてきたもので 癒しの画面の中にも一種の緊張感が感じられるような気がするのは、先生の厳しさが垣間見られるからだろうか。
大磯を'色気がある'とおっしゃる島村先生の詩的な表現も素敵だなと思った。今回の初インタビューを通じて、島村先生独自の世界をより身近に見せていただいたようで嬉しく思う。



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